小説

『2010年宇宙の旅』アーサー・C・クラーク

考えることは皆同じだと思うが、2010年になったと言うことで今年の一発目に読んだ。読み終えた直後くらいに新装版が出ていることを知った。商売商売っちね。ハヤカワの最近の文庫本は、何故か旧来よりちょっとだけ背が高いので、本棚に並べるとなんかもやも…

『ノーライフキング』いとうせいこう

あらすじ 80年代、子供たちの間で流行しているテレビゲームソフト『ライフキング』には、4つのバージョンが存在していた。ネットワークを通じて全国の仲間と情報を交換しながら、子供たちはゲームの攻略を目指していたが、ある日ひとつの噂が流れ始める。『…

『鳳凰の黙示録』荒山徹

あらすじ 日本においては戦国時代末期。時の李氏朝鮮王・光海君は、自分の地位を脅かす腹違いの弟、永昌大君の暗殺を子飼いの女性剣士集団『七琴剣』に命じた。しかし永昌大君の元にたどり着いた七琴剣たちは、彼の天性のショタっ気に当てられ、逆に彼を守る…

『夏への扉』ロバート・A・ハインライン

SF古典のお勉強。あらすじ 1970年ごろのロサンゼルス。卓抜した才能をもつ技術者のダンは、親友と始めた会社で家事万能ロボットなどを作ってそれなりの成功を収めていた。しかし、親友と結婚を間近に控えた恋人の二人による裏切りのため、ダンは会社の…

『鉄鼠の檻』京極夏彦

京極堂シリーズ4冊目。 自分の中ではビジュアルが映画版で統一されていて、中禅寺秋彦は堤真一だし榎木津は阿部寛だし関口夫人は篠原涼子で脳内再生されている。なので今回は、田中麗奈(中禅寺敦子)に萌えてればいいジャン、と言う感じのお話だった。しか…

『一九八四年』ジョージ・オーウェル

戦後すぐくらいに書かれた、全体主義によって管理された社会を描いたディストピア小説。SF、SFぅ! あらすじ。 1950年代に起こった核戦争により、異なる歴史を歩んだ世界。世界は三つの大国に分割され、それぞれが徹底した国民の監視、思想統制により管…

『封仙娘々追宝録 天を決する大団円(上)(下)』ろくごまるに

数年ぶりに買った富士見ファンタジア文庫は本の装丁がリニューアルされていて、この最終巻だけ背表紙が違うものだから本棚に並べて収まりが悪いのであった。シリーズを掛けて張ってきた膨大な量の伏線を、とにかく回収して回収して決着をつけることに腐心し…

『吉原御免状』隆慶一郎

読んだのは半年前なので、メモだけ。ファンタジー度がえらく高かった。と言うか、まんま90年代の少年漫画じゃねえか。花の慶次の元ネタとしては、どちらかと言うとこちらの方が比重強かったんでないかなあという。 後半、全体の4分の1くらいの分量で描かれ…

『スローターハウス5』カート・ヴォネガット・ジュニア

前に読んだ「あなたの人生の物語」の、元ネタであるらしい作品。某所でベタ褒めされているのを見て以来、是非読みたいと思ってはいたのだけど何故かどこの書店にも置いてなくて、ブックオフで見かけたのを泣く泣く購入。「まあ、いいか。作者の人死んでるし…

『陰日向に咲く』劇団ひとり

ここ数年のムーブメントな芸人出版。映画化もした。映画は見ていないが、読み終わった今は見てもいいかな、と思いつつある。幾人かの人間の視点で描かれる、ゆるやかなつながりを持った短編。いい話メイン。間にケータイ小説やら叙述トリックやらも挟んであ…

『硝子のハンマー』貴志祐介

友人が貴志祐介にハマっていて、しきりに薦めてくるので去年『クリムゾンの迷宮』を買って読んだらそこそこ面白かった。ので、また買ってみたわけである。これも面白かったので、年一冊ペースで読む感じになりそう。 あらすじ密室殺人です。ホームズが泥棒で…

『天の光はすべて星』フレドリック・ブラウン

買った理由を恥じる必要はないのだ、と2年前の自分に言ってやろう。と、言うわけで『天元突破グレンラガン』最終話のサブタイトルの元ネタを読了。『エヴァ』(世界の中心で愛を叫んだけもの)、『トップをねらえ2!』(あなたの人生の物語)に続き、これ…

『金春屋ゴメス』西條奈加

我らが荒山徹先生の小説にチラリと出てきた、ホセ・コンパルーヤ・ゴメスの元ネタ小説。読み終わって、何故あんな交通事故みたいなファックをされる羽目に陥らねばならなかったのかが未だに判らない。 あらすじ 近未来、人類が割と簡単に月で生活することが出…

『あなたの人生の物語』テッド・チャン

短編集。いいなあ、SFはいいなあ。 各話ごとにとりとめなく。ネタバレ含む。 バビロンの塔 時代は古代バビロニアで、舞台も間違いなくユーラシア大陸のバビロン。でも、空の代わりに天井がある。地動説じゃなくて物凄くわかりやすい形で天動説の世界。天井…

『悪魔の手毬唄』横溝正史

もうすぐ稲垣版金田一のドラマがあるので、その前に予習がてら読んでみた。面白かったけどドラマを見るかどうかは判らない。出来れば見比べてみたいけど。 「出たーーーーっ!!横溝先生の1作間に3人ファック(SATSUGAI)する殺人わらべ唄だーーー…

『2001年宇宙の旅』アーサー・C・クラーク

今年一冊目。超面白かったです。あらすじ。 去年、アーサー・C・クラークを読む楽しさに気づいたので続けて買ってみたのだけど、原文がそうなのか訳者がいいのか相変わらず文章が綺麗で気持ちいい。美しい文章の流れに目を通してるだけで癒される。「詩的な…

『イニシエーション・ラブ』乾くるみ

なんか凄かった恋愛小説仕立てミステリ。ミステリ? 失敗1。読んでる最中に奥付を確認しようとしたらラスト2行が目に入ってしまった。失敗2。それでも読み終わった当初、からくりが解けなかった。 自分はあまり読書スキルが高くない人間なので、読んでいる…

『エディプスの恋人』筒井康隆

七瀬三部作のラスト。なんとか一年の間に読み終わったぜ。 前作『七瀬ふたたび』のラストがアレだったので、「なぜ続編があるのだろう」と疑問には思っていて、読み始めるとその疑問については華麗にスルーされてしまっていた。ので、主人公が同じなパラレル…

『太陽からの風』アーサー・C・クラーク

故・アーサー先生の60年代前後の短編集。追悼記念で買ったのに積んであったとは何事だ。 ものすごーーーく文体が綺麗で素敵なのは、原文の力なのか翻訳の力なのか。今まで読んできた作品群のせいで、「SFを書く人間はすべからくひねくれている」と思ってい…

『理由』宮部みゆき

あらすじ。超高層マンションで起こった一家惨殺事件はフーダニットでホワットダニットでホワイダニットだった。 小野不由美を読んだ流れで、宮部みゆきに手を出してみた。 陰惨な事件を中心に据えているけど、基本的に後日談で出てくる証言する人々もごく普…

『奇想小説集』山田風太郎

やっぱり、年に最低でも一冊は山風読まなきゃ駄目だよねーということで奇想小説集。鼻のあるべき場所にチンコが生えてる男の話とか、骨無し蛸娘萌えの話とか。チャンピオンREDだってもうちょっと大人しいよ。先人は偉大だ。 とりあえず、「こんなん思いつ…

『風林火山』井上靖

昨年の大河ドラマ『風林火山』は割と毎週楽しみに見ていたのだが、そのときの熱がさめてから読む原作というのもなかなか乙。勘助の台詞が大体全部、内野聖陽さんの声で再生される感じで。晴信は市川亀治郎。ソニー千葉も竜雷太も出てくるステキ小説。 この脳…

『流れよ我が涙、と警官は言った』フィリップ・K・ディック

古典のお勉強。いまいちセンセーショナルさが理解できなかった。 まあ、やるせない話だったが、SFって大体やるせないしなあ。流れよ我が涙、と警官は言った (1981年) (サンリオSF文庫)作者: フィリップ・K.ディック,友枝康子出版社/メーカー: サンリオ発売…

『時砂の王』小川一水

タイムトラベルSF。話でけー!あらすじ。 未来の人類は大体地球を飛び出し、太陽系内を有効活用しながら繁栄していたんだけど、外宇宙から謎の軍勢が攻めてきてほぼ絶滅しちゃったよ→絶滅寸前のタイミングで、なんとかタイムマシンで一部隊だけ過去に送り…

『七瀬ふたたび』筒井康隆

不勉強にして筒井康隆の本はこれでまだ6冊目なのだが、この辺でようやく一つパターンを掴んだかなと思う。前作『家族八景』は人間ドラマだったのに、こっちはSF。同じ主人公なのに。こういう舞台変換を平然とやってしまえるのが筒井康隆なのか。七瀬は絶…

『家族八景』筒井康隆

自分がヴィレッジヴァンガードを敬遠しているのは多分、あの店に漂う「うちは普通とはちょっと違うよ」「我々は判ってる人間です」的な空気に拒否感を覚えるからだと思うのだが、多分それは自分で少なからず似たようなことを考えていることへの同族嫌悪みた…

『狂骨の夢』京極夏彦

今「きょうごくなつひこ」と打とうとして、「きょうごくのゆめ」と打ってた。なんとなく、同じようなミスをした人は多いんじゃないかと思う。 あらすじ。何かまた殺人事件が起こったので、関口君が周りに色々言われながら頑張る話第三弾。 『姑獲鳥の夏』の…

『屍鬼(1)〜(5)』小野不由美

ジャンプSQで藤崎竜先生が連載中の同タイトル漫画の原作。冒頭の二話で既に面白そうな予感がしていたので、1巻だけ買ってあった。あらすじ。山に囲まれた閉鎖的な村で、不自然な死が起きる。それは最初あまりに小さな出来事であったため、村人の誰も気付…

『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』フィリップ・K・ディック

ブレードランナーは見ていない。 タイトルだけでもう勝利しているような、買うだけ買って積んであったシリーズのうちの一冊。そんな本が山のようにあるので困る。 こういう、感覚的にSFSFしたのは久しぶりに読んだ。デモリションマン小説版以来か。アン…

『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』本谷有希子

あらすじ。「私は才能の塊なので女優になります」と言って上京していった姉が、両親の死をきっかけに一時帰省してきた。傍若無人な姉と、それに振り回される妹と、顔の怖い兄と、幸薄い兄嫁の四人の家族が織り成すハートフルストーリー。ハートフルというよ…