『太陽からの風』アーサー・C・クラーク

故・アーサー先生の60年代前後の短編集。追悼記念で買ったのに積んであったとは何事だ。
ものすごーーーく文体が綺麗で素敵なのは、原文の力なのか翻訳の力なのか。今まで読んできた作品群のせいで、「SFを書く人間はすべからくひねくれている」と思っていたんだけど、こういう真っ当なのもあるんだなあ。宇宙に対する憧憬やら未来への希望やら、胸の弾む『きれいなSF』だ。『幼年期の終わり』も読んだはずなんだけど、あんまり覚えてない。
とは言え、冒頭はいきなり『神々の糧』なんだけど。そうか、ファ文さんとこの食人賞の某作品は、これが元ネタだったのか。不意打ちで点と点が繋がるのは楽しいなあ。
気に入った作品は、「大渦巻Ⅱ」「太陽からの風(表題作)」「地球の太陽面通過」。どれも宇宙の孤独を描いた話で、とってもプラネテス。作中のワンシーンが鮮やかに脳裏に描かれたのが印象的だった。
しかし、面白いなあアーサー・C・クラーク。『2001年宇宙の旅』もやはりチェックしなきゃいかんかな。