『奇想小説集』山田風太郎

やっぱり、年に最低でも一冊は山風読まなきゃ駄目だよねーということで奇想小説集。鼻のあるべき場所にチンコが生えてる男の話とか、骨無し蛸娘萌えの話とか。チャンピオンREDだってもうちょっと大人しいよ。先人は偉大だ。
とりあえず、「こんなん思いついちゃったけどどうしよう」的な出オチネタをいかに膨らませるかに腐心したような短編集で、特に冒頭の陰茎人は、何か他に類を見ないほどおちゃらけた文体(でも綺麗)で、「こんなしょうもないネタ、素面で書いてられっか」みたいな初々しさが感じられて萌える。山風萌え。この照れが薄れてきて、のちの数多ある下ネタ忍法に繋がっていくのかなあと思うと実に感慨深かった。
怪奇系も楽しいが、個人的にはネタを突き詰めた結果SFになってしまっている「満員島」「自動射精機」「ハカリン」あたりが好きかも知れない。途中で、今読んでるの筒井康隆だっけとか思ってしまったけど。常に物事を俯瞰で見られる方々は尊敬するなあ。

奇想小説集 (講談社文庫)

奇想小説集 (講談社文庫)