『家族八景』筒井康隆

自分がヴィレッジヴァンガードを敬遠しているのは多分、あの店に漂う「うちは普通とはちょっと違うよ」「我々は判ってる人間です」的な空気に拒否感を覚えるからだと思うのだが、多分それは自分で少なからず似たようなことを考えていることへの同族嫌悪みたいなもんなんだろう。
だって自分、明らかにあそこに行った時は大量に本を買い込んでるもの。嫌になる。もうちょっとナチュラルと言うか、日の当たる思考回路を持って生きていたい。

と、言う訳で、ヴィレッジヴァンガードで平積みになっていたので衝動買いした本。


あらすじ。サイコメトラーな美少女・七瀬がお手伝いとしていくつかの家庭にお邪魔する中で垣間見る、人と人との業やらなんやら。筒井先生はむっちりとした肉感的な女性が好きらしい。


この本が書かれたのは三十年以上前なんだが、読んでいる最中は殆どそんなことを感じさせない。相変わらず筒井先生の本は読んでてタイムトラベルでもしてるような感覚を覚える。感覚を覚えるって重複か?


ちょっと私的に落ち込んだりしている時に読んだのだが、なんかこれを読んでて「甘えちゃいかんな」的にちょっと立ち直ったので、いいタイミングで読んだのではなかろうか。「筒井康隆に元気付けられました!」と言うのはちょっとどうかと思うと言うか、有体におかしい。


とりあえず、同じサイコメトラー題材で「絶チルの紫穂は大変だなあ」の念を強めたので、今後の彼女の活躍に注目していこうと思う。有り難う皆本。有り難う椎名先生。


家族八景 (新潮文庫)

家族八景 (新潮文庫)