『時砂の王』小川一水

タイムトラベルSF。話でけー!

あらすじ。
未来の人類は大体地球を飛び出し、太陽系内を有効活用しながら繁栄していたんだけど、外宇宙から謎の軍勢が攻めてきてほぼ絶滅しちゃったよ→絶滅寸前のタイミングで、なんとかタイムマシンで一部隊だけ過去に送り込めたから、過去の人たちに声を掛けて準備を整えて、改めて人類を守るよ!→過去でも準備が上手くいかず、負けちゃったよ!→じゃあ、さらに過去へ!
死んだらリセットできるけど、次スタートする時はレベルが現在の半分になっているような感じの話。で、話の開始時点で邪馬台国卑弥呼の時代、という。
テーマは色々あろうが、個人的に興味が湧いたのは「人は意地だけでどこまで頑張れるのか。戦えるのか」といったあたりか。一番最初に過去に飛んだ時点で、主人公たちの住んでいた世界や、思い出や、愛した人は既に完全消滅してるわけで(過去の人類を守っても、未来にいたはずの人たちがそのまま生まれる訳ではないらしい)。主人公たちが本当に守りたかった物はスタート時点で既に無くなっているのに、彼らは人類を守るため戦い続けるのだという。そのモチベーションを支える物はなんなのかな、というか。心が折れたくらいで立つのをやめちゃ駄目だよ、ということなのか。安いプライドさえあれば戦えるのか。何とだって。そうなのですかジョンス・リー。

途中の第二次大戦時の連合軍VS異星人機械化部隊の回想シーンとか、身悶えするようなシーンが惜しげもなく使い捨てられてるのが凄いなあ。普通なら、もっと長編にしてここだけで1、2巻使うよ。贅沢。

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

時砂の王 (ハヤカワ文庫JA)

この表紙でジャケ買いした。いい絵だ。