『ノーライフキング』いとうせいこう

あらすじ
80年代、子供たちの間で流行しているテレビゲームソフト『ライフキング』には、4つのバージョンが存在していた。ネットワークを通じて全国の仲間と情報を交換しながら、子供たちはゲームの攻略を目指していたが、ある日ひとつの噂が流れ始める。『ライフキング』には謎の第5のバージョン・『ノーライフキング』が存在し、これをクリア出来なかった者は死んでしまうと言う噂である。実際に死者が出たことで噂は現実であると認識した子供たちは、力をあわせて『ノーライフキング』の攻略に乗り出すのだが。


感想
噂が世界を動かすとかそんな話。噂は本来噂でしか無いはずなのに、そんな噂が多くの人間を動かし、場合によっては破滅させるような大きな力のうねりを持つ。実際に目に見えて存在しないものが持つ外力を自分は宗教とか神とか呼んだりするんだけど、そう考えるとこれは神の話かなあ。と思う。
マスコミがノーライフキングによって生まれた現象を端からコントロール出来ると考えていて、実際にしようとする感覚とかはなかなかのメディアリテラシー信仰であるなあと唸りつつ、そんな人間の浅知恵を越えて荒れ狂うノーライフキングの暴威は確かに神と呼ぶにふさわしいんでなかろうか。

しかし、ノーライフキングってこの作品が語源だったのか。

ノーライフキング (新潮文庫)

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