『自虐の詩』

堤幸彦監督作品を見るのは、『大帝の剣』以来。あれは酷い映画だった。
原作ファンに評判が悪いらしい今作。自分は原作を読んでいない不届き者で「これで評価低いんだったら、漫画はかなり面白いんだろうなあ」とお得感のある感想を持てた。

堤監督のコメディ演出と言うのは、面白いんだけど展開のシリアスな部分でも関係無くぶち壊しにしていくので、個人的には諸刃の剣なイメージがある。そのさじ加減が上手いところもあってTRICKとかは評価されてたんだと思うが。
今作ではかなり頑張ってコメディを抑えていたので、一本の物語として何とか体裁を保ててたんじゃなかろうか。そのせいで、たまにそう言う演出が入ると浮きまくって仕方がなかった。(阿部寛マトリックスとか)


物語の方はオーソドックスなホロリ話。この密度なら、もうちょっと尺を短くして見せて欲しい。多分日常のシーンを詰め込みすぎなんだと思うが、この映画のテーマは『日常が幸せ』っぽいのでそこを削るわけにはいかないのだろうか。
それと冒頭で中谷美紀が「幸せってなんだろう。幸せになりてえ」と独白してるけど、作中の中谷美紀は全般的に幸せそうだったので、その辺ちぐはぐな印象を受けた。構成面で難があるのかも知れない。


何故か辛口になったが、中谷美紀は相変わらず可愛いし阿部寛の無駄な存在感も堪能できて、いい時間を過ごせたと思う。原作もそのうち読もう。


自虐の詩