『魍魎の匣』 京極夏彦

一日に30分ずつ程の分量で読み進め、予想していたより遥かに短い時間で読了する。本当に、何故これほどスルスルと読めるのか不思議で仕方が無い。
それでも、その日読んだ分が30分かけて京極堂の薀蓄話だけだったということもあったので、堤真一の苦労は筆舌に尽くし難いものがあるのだろう。


内容に関しては申し分なく面白く、友人が「一番面白い」と言って薦めた気持ちも判る。京極夏彦の作品は今のところ本作と『姑獲鳥の夏』と『どすこい。』しか読んでいないのだが、他人と異なる着想を得ることに腐心している作家なのかなあと言う印象を覚えた。
まあ大抵の作家はそういう理想を持っていると思うが、実際に体現出来ている人はやはり少なかろう。つまり、いい作家だと言う事だ。


関口君のドン臭さには常にイライラさせられるが、それに輪を掛けて彼に対する京極堂や榎木津の暴言が物凄くて笑う。「特徴が似ているだけで同一な物だと言うのなら、君(関口)は猿だと言う事になってしまうよ」とか、罵倒スキルが無駄に高い。
結局その辺は、ドン臭い関口君だから聞き流していられるのだろう。で、そんな関口君だから京極堂も榎木津も構わずになんでも言えるのであって、つまり関口君に甘えているのであって、さらに京極堂ツンデレで、多分関口君の本のファン。単行本の掲載順を一日掛けて考えてあげたり。
この辺、腐女子の方々の格好の餌なのだろうなあ。


映画は、是非見に行こうと思う。どうしても二時間で片がつけられるとは思えないので、その辺どうなるのかに注目する事になるだろう。公開直前には、もう一度流し読みで再読せねばなるまい。

魍魎の匣 (講談社ノベルス)

魍魎の匣 (講談社ノベルス)