『始祖鳥記』 飯嶋 和一

江戸時代の、恐らく日本史上初の鳥人間となった男の一代記。テーマは恐らく、「自分は自分以外の何者にもなれない」。

主人公を取り巻いて登場人物がどいつもこいつも格好良すぎる。魅力的な人間たちが、主人公の周囲でわずか1エピソードで片付けられていくのが物凄い。特に第一部など、「こいつが主人公の話が読みたい」と思わせる連中ばかりだった。

  • お気に入りのシーン
    • いろいろあって捕まった主人公がその時初めて会った町目付と、詮議所の白州の上と下で、立場を超えて互いの「変えられない性」を理解し合うところ。
    • 船の上から主人公が沖太夫を見つけるところ。
    • 引退した老船乗りがもう一度海に戻るところ。
    • ラスト。

お気に入りのシーン群は、ぜひとも原哲夫で漫画化してもらいたい。ただし殴り合いは無しで。
正月二時間ドラマとかで実写化出来ないかなあ。無理かなあ。無理だなあ。しても見たくないかもなあ。