『仮面ライダー555 DVD5巻』

あらすじ
人の心を持ったオルフェノクの存在を知り、戦うことが出来なくなった巧。しかし、彼の前でまた別のオルフェノクが人間を殺す場面を目の当たりにし、オルフェノクを殺すことも自分の葛藤も全て汲んだ上で、改めて戦い続ける道を選ぶ。
そんな巧たちに、ファイズドライバーを狙うラッキークローバーの刺客たちが襲いかかる。
最初の刺客であるジェイをなんとか撃退したものの、続けて迫るセンチピードオルフェノク・琢磨や、木場たちを裏切り者として粛清しようとする冴子を前に、巧は為すすべなくベルトを奪われてしまうのだった。


感想

  • 復活の仮面ライダー
    • 良心を持ったオルフェノクが居ようと、そのことでどれだけ悩もうと、それとは関係なく人に害を為すオルフェノクは存在しており、葛藤している端から人が死んでいく。なので悩む前に、あるいは悩みながらも、それでも仮面ライダーは戦わねばならぬ。
    • と、いう流れで復活した巧さんでした。うーん、微妙。流れが悪いとは言わないが、その辺のことは十分理解した上で今までも戦っていたと思っていたので、今更な感じがあった。
      • 1巻:成り行きで仮面ライダー
      • 2巻:人の夢を守るためにライダーとして戦うと誓う
      • 3巻:仮面ライダーとして戦うことがアイデンティティーとなる
      • 4巻:「良い怪人」が居ることを知り、戦いに疑問を持ち始める
      • 5巻:「良い怪人」が居ることも踏まえて、それでも戦う覚悟を決める←今ここ
    • と、いう流れで、しっかり丁寧に仮面ライダーとしての乾巧の成長は描いていると思うんだが。段階は踏まえているんだけど、4巻で生まれた葛藤に、5巻でしっかり答えを出してるとは言い難いように感じたんだな。「戦うことが罪なら、俺が背負ってやる!」と言い切った巧だが、実際に今後、結花と対峙することになった時にどうするのかと言うアンサーは出してないし。ちょっと多くを求め過ぎだとは思うが、何にせよ消化不良だった。
      • こういう葛藤への一番優等生な解答は、ロラン・セアックですよな。「僕は二年前に月から来ました。けど、月の人と戦います。だけども、地球の人とも戦います。人の命を大事にしない人とは、僕は誰とでも戦います! 」つって。「オルフェノク=悪」の図式に囚われず、良いと思った相手はオルフェノクでも守り、悪いと思った相手は人間でも叩きのめす。そうすれば筋が通る。
      • それすると仮面ライダーでは無くなってしまうが。良いやつだろうと悪いやつだろうと、人間を守る。それも仮面ライダーの在るべき姿。
    • という訳で、見てる側の悩みも尽きない。巧が出す次のアンサーに期待しておこう。
    • 木場は少し水を開けられたなー。「過去がオレを殺しにやってきた」的エピソードだったので、彼の成長にも使えたはずなんだけど。
  • ずっと啓太郎のターン!
    • わがままな幼女のわがままに振り回される啓太郎が描かれる18〜19話。啓太郎の狂人度が試される名エピソードだった。
    • かき氷を食べたいと言われれば、かき氷器を買ってきて作ってやる。アイドルになりたいと言われれば、服を買って通りすがりの人に拝み倒してコンサートを開いてやる(世が世なら啓太郎Pとか呼ばれてた)。だが洗濯物。テメーは駄目だ。
    • 相変わらずの空回りなんだけど、最後には結果として彼の所持スキルが功を奏して事件は解決。
    • 啓太郎の駄目なところは、やりたいことと、やるべきことと、やれることが、常に全て壊滅的に噛み合ってないところなんだよなあと改めて思う。まあ、それだけじゃないけど。
      • やりたいこと:皆を幸せにする(漠然)
      • やるべきこと:仕事
      • やれること:洗濯
    • 今回は、この3つが見事に合致したお陰でめでたしめでたしとなりました。やりたいこと(少女を幸せにする)に対してやるべきこと(少女の母親の記憶を取り戻す)のためにやれること(洗濯)をやった。と言う。ストンと落ちるいい話になった。
    • 啓太郎はこのアハ体験を有効活用するべきなんだけど、その次の話には仕事を増やしつつまたピザ屋の手伝いをしようとしていたので、まるで成長していない…。
      • しかし、「守銭奴の少女」「入院中の母親」「犬(チャコ)」って、家なき子ですか…。ファイズが9年前だということを踏まえてもいろいろ古いよ。確認したら、家なき子が94年でファイズが03年放映だった。時が暴走する。
  • さらばジェイ
    • 今まで数々の見せ場で我々を魅了し続けてくれたラッキークローバーの雄、イケメン・ジェイが遂に退場。3つの命全てを有効に使い、ライダーの必殺技演出の華々しい見せ場として散ってくれたこの心優しき男に、猫柳が無意識にのうちにとっていたのは“敬礼”の姿であった――。涙は流さなかったが、無言の男の詩(うた)があった――
      • クリムゾンスマッシュからのグランインパクト。強靭なオルフェノクの協力が不可欠であるこのプロレス的珠玉コンボを、見事にこなしてくれた。一座建立の場と相成り申した。
    • 次はいよいよ琢磨さんと冴子さんが本格的に動き出す。新人ラッキークローバー候補とかも出てきて、次も楽しませてくれそうだ。
  • その他
    • 他のオルフェノクと戦うファイズを見て、過去の経験から裏切り者の粛清中と判断して乱入する木場。説得力のあるいい誤解だと思った。
    • トードスツールオルフェノク。ノー説明でジャグリングしつつ一輪車に乗り、「遊ぼうよ!(甲高い)」と叫びながら少女を追い掛け回すピエロ。怖い。ノー説明でキノコオルフェノクに変身する。目的も行動基準も全く理解出来ないのが怖い。少し心が通い合ってきた少女と啓太郎の間に、ジャグリングのクラブを投げて乱入するシーンのなんとも言えない狂気に、引きつった笑いが止まらない。
      • ていうか、幼女を追い掛け回すピエロがキノコに変身て。怖いわー。井上敏樹怖いわー。
    • 人間のままでいたいオルフェノクが実は結構いっぱいいると言うのは、好みの展開。冴子さんが粛清した一般人オルフェノクが着ぐるみも用意された上で3コマで退場とか、贅沢かつ深みがあってよろしい。
      • 「極上のシャンパンで人生最後の晩餐をお楽しみ下さい」という面倒くさい殺害予告を好む冴子さん。本人が楽しいだけで、シャンパン送られた奴の誰一人として意図を理解していないというのがまた。こんな奴ばっかりだよ!
  • 今回草加の出番はありませんでした。が、3つ目のベルトの話が出てきた。あと、どうやらいよいよ次巻で新フォームが出るようだ。やっぱり、これくらいのタイミングで新フォーム出たほうが、有難味があっていい気がする。

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