『シューテム・アップ』

売り文句が『弾丸(タマ)んねー』という時点でかなりどうしようもない感じの映画。このフレーズで映画の存在を知り、目覚ましテレビの特集で映画のコンセプトを知り、こちらの感想を読んで見に行くことに決める。最近、悪い意味で頭の悪い映画しか見てなかったので、チャンピオン的な意味で馬鹿な作品に飢えていたようだ。


あらすじ。凄腕の銃使いであるクライブ・オーウェンが偶然拾った赤ん坊を守るため、悪い奴らを皆殺しにする。以上。やはりハリウッド映画というのは、あらすじを1文で説明できなきゃ駄目だな。


とにかく銃撃戦にこだわる映画で、三度の飯より銃撃戦が好きで、というより三度の飯が銃撃戦で、おやつがニンジンで、要するにバカ。伊藤明弘先生あたりは「この映画を否定することなんて僕には出来ない」とか言いながらワイルダネスでディエゴの立ち回りのプロレス度を無意識に上げちゃったりするのであろう。それを否定することなんて僕にも出来ない。


基本的にいい意味で薄っぺらいんだけど、キャラの立ち具合は割と好み。特に主人公と敵のボス。主人公は自分が不器用な人間であることをそれなりに自覚していて、不器用なりに自分の規範に従って生きている。敵のボスはそこそこ頭のいい自分を理解していて、常に理性的であることを心がけて生きている。という対比。ボスが部下や自分の失敗に対して言っていた、「怒るとトリプトン水酸化酵素が発生してIQが下がる。それは困る(ので怒らない)」という台詞が地味にヒットしていて、是非自分でも日常的に使っていきたい。


好きなシーンは以下の三つ。全部銃撃戦。くどいようだがこの映画には銃撃戦以外のシーンなんてない。

  • 吉梨さん命名「銃鬼喇嘛仏」のシーン。重ねて言うがこの映画はセックルシーンですら銃撃戦。この映画で一番頭おかしいシーンだとは思うが、モニカ・ベルッチが合身しながらクライブの後方の敵に対応しなかったので(一回攻撃避けてたけど)完全な喇嘛仏じゃない。ここで「二人合わせて四丁拳銃で360度対応、いや股の間の奴も含めて五丁拳銃」とかすれば完璧だった。惜しい。
  • 空中戦のシーン。文字通り空中戦。ここで一緒に見に行った友人と二人で、ついに吹き出す。三谷幸喜の映画を見てる時くらいの声量で笑う。シークレットサービスが追いかけてきたあたりでさらに笑う。まだ見てないが、果たして『マジックアワー』はこのシーンを越えられるであろうか。
  • 主人公の拷問シーン以降全部。ここで主人公はまともに銃を握れなくなってしまうので、後のシーンは全部まともじゃない銃撃戦になる。この監督はちょっと意欲的過ぎる。


実に濃密で、且つしょうもない二時間弱を堪能させてもらった。ので、帰りにパンフレットを買ったら、チャンピオンRED編集長の解説が掲載されていて最後にもう一回笑った。前も思ったが、本当に変人の周りには変人が集まるらしい。ホワットアワンダフルワールド。