『六番目の小夜子』 恩田陸

なんとなく「いつか読もう、いつか読もう」と思いながらも結局死ぬまで読まずにいるんじゃないかなと思っていた本のうちの一冊。読んでしまった。


文体が物凄く簡易なのに、作りがしっかりしているなあと言うことで自分の中の何かに勇気を与えてくれた。今年一冊目としてはいいチョイスだったんではないかと思う。
恩田陸の小説で読み終えたのは確かこれで四冊目だったと思うが、何気にキャラが記号的というか、生き生きとした萌えキャラ揃いだと言うことに気付く。ドミノとかもそうだったが、あれは作者好みの萌えキャラを以下に物語上に並べていくかのメイキングだったのかも知れない。


とりあえず読み終えて、「もう一度学校に通ってみたくなりました」系の感想を並べたくなる小説なので、嫌になる。手に出来ていたかもしれないが、体は随分と昔に離れてしまって二度と手に入れることが出来ない類のフィクションは地味にダメージが大きい。「僕たちにはファンタジーがあるじゃないか」というが、ファンタジーとフィクションって近いようで物凄く別ジャンルなんだな、と。

  • 気に入ったシーン
    • 演劇『六番目の小夜子』。単純に上手いなあと。
    • 格好いい沙世子さんが悪態をつくところ。結局脳内ビジュアルは津村斗貴子にならなかった。ツンな謎の転校生ってとこくらいしか共通点が無かったのが意外だったりする。
    • 序盤付近の、なんか叙述トリックっぽくしたんだけど唐突に投げ出した感のある描写。飽きたのか。


六番目の小夜子 (新潮文庫)

六番目の小夜子 (新潮文庫)