『機動戦士クロスボーンガンダム 鋼鉄の7人 3巻』長谷川祐一

長谷川祐一の生み出した一大ヒーロー物語が堂々の完結。


思いのほか短かった鋼鉄の7人編。やはり無印がテレビ版で、こちらが劇場版みたいな感覚なんだろうか。話の完成度は無印の方が上だが、紙面から迸っているオーラっぽいものの総量はこちらの方が上な辺りとかも含めて。長谷川先生が書いてる最中にハンターハンターの覚醒コムギみたいになってる絵が頭に浮かぶ。


複雑な気分なのは、無印終了の時点で、全ての登場人物がある程度幸せな結末を与えられていたこと。あの終わり方の段階では、読者がトビアや他の登場人物たちのその後の外伝的ドラマを夢想して楽しむことが出来たんだが。
結局、長谷川先生本人があの魅力的登場人物&モビルスーツを放っておけなかったため、最後の最後まで語られてしまって、『クロスボーンガンダム』と言う物語が完全に止めを刺されてしまった。(まだ外伝を差し挟む余地も無いでは無いが)
特にこの三巻で死んでいった幾人かの登場人物には、ドラゴンボールZでせっかく生き残ったのに、GTで殺されてしまったピッコロさんを見た時のような悲しみを覚えた。あれは別の人間が脚本を書いてたからまだ怒りのぶつけようもあったが、こっちは紛うこと無き作者本人が殺してるからなあ。まあ、キャラの一番の見せ場は死に際だと富士鷹先生も言ってたから、幸せっちゃあ幸せなんだろうが。


それにしてもクロスボーンを始めとするF91世代のモビルスーツの格好良さと、各人物の台詞の熱さが異常。ラストのエスパー姉弟の掛け合い以降は是非スパロボで再現してもらいたい。全台詞声付きで。とりあえず、次クロスボーンが出るスパロボは間違いなくハードごと買う。小隊システム付きなら『トビア&死の旋風』小隊と、『W青い閃光&ドレック(in白F91)&エウロペ(inメタス)』で。後者は高確率で二軍落ち。


これで残念ながらクロスボーン・サーガは完全に終わってしまい、後はアニメ化で世の全てのガンダマーたちを虜にする日を待つだけ。ここまで来るとアニメ化しない理由が一つも見当たらないと思うのだが。