『機動戦士クロスボーンガンダム 鋼鉄の七人』長谷川裕一


数多有るガンダム作品の中で、どれが好きかと、OVAの『機動戦士ガンダム0080』か、『ターンAガンダム』か、漫画の『クロスボーンがンダム』と答えることにしている。
それぞれ味わうポイントが違うので、どれが一番とはいえないが。


とにかく、私はクロスボーンがガンダムの中でダントツで好きだ。ケレン味溢れるデザインに、心躍らされるストーリー。熱い戦い。「ガンダムだ!」と言うよりは、「ロボットだ!」の感覚で。


そもそもクロスボーンは作者の作風の影響で、他のガンダムと比べてかなり異質だ。他のガンダムはどれも戦争物だ。戦争に、どちらが「良い」、「悪い」と言う物は無い。どちらにも正しい点があるし、間違っている所もたくさんある。
ところが、クロスボーンは違う。
主人公サイドの海賊軍が、明確に「正義の味方」であり、敵サイドの木星帝国が間違いなく「悪」なのである。最終戦のX−3など、もろに悪の帝王に挑みかかるヒーロー以外の何者でもなかった。


戦争物とは言え、ガンダムだってロボットアニメだ。葛藤やエゴに苦悩する人々だけではなく、たまにはただただ格好よく、爽快に敵をなぎ倒す勇姿だって見たいのである。
そんな私の心の隙間を、見事に埋めてくれたのが『機動戦士クロスボーンガンダム』だったわけだが。


前置きが長かったが、そう言うわけで、私の愛して止まない『クロスボーン』の続編が、満を持して登場である。

機動戦士クロスボーンガンダム 鋼鉄の七人』

鋼鉄の七人。スティール7。相変わらず馬鹿格好良いセンスだ。
木星帝国の野望はまだ終わっていなかった。二週間後にコロニーレーザーを直接木星から地球に向かって撃ってくるので、なんとかして食い止めろ。7人で。7機のモビルスーツで。

相変わらず、設定が『ガンダム』じゃないよな〜、と、ほくほく顔で見ている。トビアはこちらに一切不安を与えない良質の熱血主人公だし。F99だの、光の翼の実験機だの、こちらの琴線に触れまくりな素敵設定も良し。


そろそろ、実際にアニメ化してもいいんじゃないかと思いつつ、二巻を楽しみに待っている。



ただ、X−1フルクロスは、正直どうかなあ。あんまりごてごてしいのはクロスボーンには似合わない気がするが。それでも、長谷川先生が格好よく活躍させてくれることには、微塵の不安も抱いていないが。