P4日記その10

以下ネタバレを含む

最後まで。ノーマルEDを見た上で真EDまでクリア。


あらすじ
 ついに真真犯人を追い詰め、その背後で暗躍していた黒幕も撃退。事件はついに解決を迎える。平穏の訪れた稲羽市で時は流れ、主人公は都会へと戻ることになった。
 出発の前日、今まで世話になった人々への挨拶を終えた主人公はまだ遣り残したことがあったことに気づく。そして何やかやの末に突き止めた真の黒幕を打ち倒し、全ての決着をつける。やるべきことをやり終えた主人公は、仲間や友人たちに見送られながら稲羽市に別れを告げるのだった。

感想
・真真犯人と黒幕と真の黒幕
 真真犯人は動機がしょぼく、黒幕ズは目的が壮大すぎて両極端。どうしてそう、世界の存亡を掛けた戦いにしたがるのだろうか。『そして2011年の冬は・・・ほとんどの人々にとっていつもの冬と同じように当たり前に・・・過ぎていった』では駄目なのか。
 などと多少嘆いてはみたが、彼らが使っている力は古今東西の神様だし、殺人犯一人退治するためだけに使うのはゴキブリの駆除にバズーカを持ち出すようなもんで釣り合わないのかも、とも思う。ラスボス戦のオーケストラ調のBGMも、格好いいけど真真犯人相手に使っていたらスケールが違いすぎて違和感があるだろうし。
 とは言え、真真犯人は吉良吉影みたいなラスボスとしての『格』こそ無かったけど、割と真剣にゲスだったので良かったと思う。自分が悪だと気づいていない、悪よりもっと悪い『最悪』と呼ばれるような真の邪悪。自分の不幸に他人を引きずり込むクソ野郎で、未来に対してまだスレた感情を持ってない高校生たちが相対するには、ベストな敵だったんじゃないかなあ。所持ペルソナも主人公のダーク版だし。
 黒幕と真の黒幕については、普通に格好良かったです。ラストダンジョンの音楽がバッドEDのスタッフロールBGMというのがまた憎い演出だ。

・仲間とかコミュとか
 達成したコミュは陽介、完二、雪子、千枝、クマ、運動部(サッカー部)、文化部(演劇部)、看護婦、老婦人。菜々子と堂島が攻略不可になった時点で、あまりコミュに重きを置かなくなっていた気がする。攻略本も買ったので、2週目は頑張ろう。FESまで持越しかも知れないけど。
 見た中で一番気に入ったのは陽介のコミュだろうか。格好良すぎるよ彼は。何故そこまで人間ができているのに、周りの扱いが悪いんだ。馬鹿だからか。
 仲間たちはコミュ達成と同時にペルソナ進化するのも好印象。3の時に「こうなればいいのに」と思っていた通りのシステムになっていて、本当アトラスは半端無い。

・エンディング

隊長・・・
ベッタベタです しかし・・・オッケーです!!

『レベルE』2巻より クラフトを讃えるサド隊員の独白

 凄すぎる。21世紀にもなって、『都会に転校していく主人公を見送る仲間たち。主人公を乗せた列車が出発する中、仲間たちは別れの言葉を掛けながらホームを走って列車を追いかける』なんて演出が見られるとは思わなかったよ。ギャグ漫画でしか出てこないよそれ。画面を眺めながらニヨニヨが止まらなかったよ。
 今まで感想を書いた中でたびたび、「あずまんが大王みたいだ」と表現してきたけど、あの数々の本筋とは関係ない楽しいイベント群は、全てこのエンディングのためにあったんだなあ。最後に主人公が手に取るあの写真は一年間の全てが詰め込まれた宝物で、あの写真の価値を高めるにはこれほどたくさんのエピソードが必要だったんだよと言う感じ。セピア色の思い出になるための物語。あんな写真が自分も欲しいわ。
 ただ贅沢を言えば、ノーマルEDと真EDはもうちょっと内容を変えて欲しかったか。最初真EDへの分岐に気づかなくて(あんなの判るか)ほぼ連続で両EDを見たから、真の時はちょっと感動が半減だった。

・まとめ
 本当に良かった。
 戦闘システムや音楽面でもずば抜けて素晴らしいし、ミステリ仕立ての展開も退屈せずに楽しめたんだけど、何より素晴らしかったのが仲間たち。彼らと過ごす一年間の涙と笑いと青春のかけがえなさに、「真のリア充とはこういうものだ!」と言うのを堪能させてもらった。
 『キャラゲーだ』と揶揄されることの多いペルソナシリーズだけど、そもそも『登場人物たちが己が内の人格(ペルソナ)と対峙して、作品を通して成長する』ことがこのシリーズの共通テーマなんだから、キャラたちに焦点を当てて掘り下げているのは当然のことだろうと思う。むしろその上で、RPG要素と主人公とキャラたちが交流を深める(ギャルゲー的な)AVG要素が上手く融合している3以降のスタイルは評価に値する。特に4は、このゲームで一番スポットが当たる登場人物たちの部分をとてつもなく魅力的に仕上げてきたわけで、傑作と呼ぶにふさわしい出来であったと思う。